妙高級重巡洋艦 (日本海軍, 1927)

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概説

 妙高級巡洋艦は、いわゆる「条約型重巡」の第一弾である。古鷹級を基礎に発展大型化させた巡洋艦であるが、当時の建艦技術の常識を超えた、わずか1万トンで8インチ砲10門の搭載を実現し、世界の海軍関係者を驚かせた。妙高級の設計は平賀の手になるもので、古鷹級で実現された軽量化技法と、合理的な配置によりこれを実現した。その特徴は、縦隔壁による強度維持、波型甲板の採用により実現した平甲板船型、ピラミッド型配置にされた前部砲塔群、そして遠距離砲戦を考慮した(当時としては)大型の艦橋構造物などである。あるイギリス士官は完成直後の那智を見学して「これこそ本当の軍艦だ」と賞したという。しかし、平賀本来の設計には魚雷発射管は含まれていなかった。平賀は「これから砲戦距離は格段に伸び、魚雷の出番はなくなる」として魚雷発射管を全廃した。これは魚雷戦を信条とする水雷屋の強い反発を受け、平賀は欧米出張を命ぜられ、設計の現場から遠ざけられた上で設計変更が行なわれて魚雷兵装が追加された。1936年の1次改装では、中甲板に固定式として追加装備された魚雷兵装を上甲板に上げ、旋回式発射管に換装した。本来居住区に予定されていた区画を発射管室に変更してしまったために居住区が不足していた、それを是正するための改装であったようだ。ついで開戦直前に再度改装が行なわれるが、今回の改装はもっぱら航空兵装の強化にあり、射出機は2基に、搭載航空機は3機となった。開戦時、妙高級は5Sに配属され、3Fに所属して比島攻略作戦に参加、ついで蘭印方面に転戦してスラバヤ沖海戦では連合国艦隊と砲火を交えた。第二段作戦に入ると、那智は5F独立旗艦として北方にあり、他艦は南方でガ島作戦に従事するなど、必ずしも揃って行動したわけではなかった。彼女らが再び一同に会したのは昭和19年も末の比島海戦のときだった。それも同一部隊として行動したわけではなく、那智は足柄とともに第二遊撃部隊(5F)旗艦としてスリガオ海峡からレイテ湾に突入する任務を与えられ、残る妙高と羽黒は主力の第一遊撃部隊(2F)に属して北方からレイテ湾に突入する予定であった。しかし、10月24日に空襲をうけて妙高が後落、シンガポールに回航され戦線を離脱した。残る3艦は大きな損傷もなく、いずれも無事帰還した。だがその直後、マニラ湾停泊中の那智は米軍機の攻撃を受け沈没する。妙高もシンガポール回航途中に潜水艦の雷撃をうけて傷口を広げていた。結局妙高は終戦までシンガポールに繋留される。のこる足柄および羽黒は主にマレー半島西岸で行動していたが、昭和20年5月、羽黒は輸送作戦中に優勢な英艦隊と遭遇、交戦ののち撃沈された。足柄も翌月ジャワへの輸送の途次潜水艦の雷撃により沈没する。ひとり残った妙高は、戦後英軍の手によりマラッカ海峡で海没処分された。

主要要目

竣工時 (1928)

排水量: 基準 10,000t, 公試 13,120t
長さ: 垂線間長 192.39m, 水線長 201.50m, 全長 203.76m
全幅: 17.34m
喫水: 5.90m
機関: 4軸 艦本式減速タービン(高低圧) 8基, ロ号艦本式缶 12基 (重油専焼), 130,000shp
燃料: 重油 2470t
速力: 35.5ノット
装甲: 水線帯 100mm, 甲板 35mm, 砲塔 25mm, 砲塔基部 75mm
兵装: 20cm/50口径砲 連装5基 10門, 12cm/45口径対空砲 単装6基 6門, 機関銃 2挺, 61cm魚雷発射管 三連装4基 12門, 航空機 2機
乗員: 773

第一次改装後 (1936)

兵装: 20cm/50口径砲 連装5基 10門, 12.7cm/40口径対空砲 連装4基 8門, 13.2mm対空機銃 4門, 61cm魚雷発射管 四連装2基 8門, 航空機 2機

第二次改装後 (1941)

排水量: 基準 13,000t, 公試 14,743t
長さ: 垂線間長 192.39m, 水線長 201.70m, 全長 203.76m
全幅: 20.73m
喫水: 6.32m
速力: 33.8ノット
兵装: 20.3cm/50口径砲 連装5基 10門, 12.7cm/40口径対空砲 連装4基 8門, 25mm対空機銃 8門, 13.2mm対空機銃 4門, 61cm魚雷発射管 四連装4基 16門, 航空機 3機

一覧

計画 艦名 建造所 起工 進水 就役 艦歴 記事
大12 妙高 Myoko 横須賀工廠 1924.10.25 1927.04.16 1929.07.31 一等巡洋艦 1946.07.08 処分
1946.08.10 除籍
マラッカ海峡
大12 那智 Nachi 呉工廠 1924.11.26 1927.06.15 1928.11.26 一等巡洋艦 1944.11.05 戦没 (航空攻撃)
1945.01.20 除籍
マニラ湾
大12 羽黒 Haguro 三菱長崎 1925.03.16 1928.03.24 1929.04.25 一等巡洋艦 1945.05.16 戦没 (交戦)
1945.06.20 除籍
マレー半島西岸
大12 足柄 Ashigara 川崎神戸 1925.04.11 1928.04.22 1929.08.20 一等巡洋艦 1945.06.08 戦没 (被雷)
1945.08.20 除籍
シンガポール南方
(英潜 Trenchant)